起債 許可 団体 一覧を確認する際は、自治体名だけを並べたリストを見るのではなく、「なぜ起債許可団体になるのか」「どの財政指標が基準になるのか」「現在どの団体が該当しているのか」を合わせて理解することが重要です。地方債制度では、地方公共団体の財政負担が一定水準を超えた場合、地方債の発行に国の許可が必要となる早期是正措置が設けられています。特に実質公債費比率18%以上は、起債許可団体となる重要な基準です。
本記事では、起債 許可 団体 一覧を調べるために必要となる制度の仕組み、実質公債費比率18%の意味、18%・25%・35%の違い、都道府県と市町村の確認方法、近年の該当状況、そして最新データを見る際の注意点まで詳しく解説します。なお、起債許可団体は毎年度の決算によって変動するため、「過去に該当した団体」と「最新年度に該当する団体」を区別することが大切です。
起債許可団体とは何か
起債許可団体とは、地方債を発行する際に、通常の地方債協議制度や届出制度だけではなく、国の許可を受ける必要がある地方公共団体のことです。
地方公共団体は、道路、学校、庁舎、上下水道、公共施設、災害復旧などの財源として地方債を活用します。地方債は、一度に多額の費用が必要となる公共施設整備について、その費用を将来の利用者も含めて長期間にわたり負担するという意味で重要な財源です。
しかし、地方債を過度に発行すると、将来の元金・利子の返済額が増加し、自治体の財政を圧迫する可能性があります。
そのため、財政負担が一定水準を超えた地方公共団体については、地方債発行に許可を必要とする制度が設けられています。地方債協会も、元利償還費や決算収支の赤字が一定水準以上となった団体に対して、地方債発行の許可を求める早期是正措置を説明しています。
起債許可団体を決める重要な基準
実質公債費比率18%
起債許可団体を理解するうえで最も重要な指標が「実質公債費比率」です。
実質公債費比率は、地方債の元利償還金など、自治体が実質的に負担する公債費が、標準財政規模に対してどの程度の割合になっているかを示す指標です。
地方債協会によれば、実質公債費比率が18%以上となった地方公共団体は、地方債の発行について許可が必要となります。
したがって、基本的には次のように整理できます。
| 実質公債費比率 | 制度上の位置付け |
|---|---|
| 18%未満 | 18%基準による起債許可団体には該当しない |
| 18%以上25%未満 | 起債許可が必要 |
| 25%以上35%未満 | より厳しい地方債発行上の管理が必要 |
| 35%以上 | 財政再生基準との関係で極めて厳しい状況 |
ここで注意したいのは、18%以上になったことと「財政破綻」が同じ意味ではないという点です。
18%は、地方債発行について国の許可を必要とする水準であり、財政悪化を早期に是正するための制度上の基準です。
実質公債費比率が重要な理由
実質公債費比率は、単純な地方債残高だけでは分からない自治体の返済負担を把握するための指標です。
例えば、地方債残高が大きい自治体であっても、地方交付税による財源措置などによって実際の一般財源負担が相対的に小さい場合があります。
反対に、地方債残高だけを見るとそれほど大きく見えなくても、元利償還金などの負担が一般財源を圧迫していれば、実質公債費比率が高くなる可能性があります。
そのため、自治体の財政状況を確認するときは、次の指標を総合的に見ることが重要です。
- 実質公債費比率
- 実質赤字比率
- 連結実質赤字比率
- 将来負担比率
- 資金不足比率
- 地方債現在高
- 経常収支比率
- 財政力指数
18%・25%・35%の違い
18%以上
実質公債費比率が18%以上になると、地方債発行について許可が必要になります。
18%以上25%未満の団体については、公債費負担適正化計画の内容や実施状況に応じた許可基準が適用されます。
つまり、単純に「地方債を発行できなくなる」という制度ではありません。
25%以上
25%以上になると、財政状況への警戒度はさらに高くなります。
地方債協会によれば、実質公債費比率が25%以上35%未満の団体については、財政健全化計画の内容や実施状況に応じて、より厳しい許可基準が適用されます。
35%以上
35%以上になると、地方公共団体の財政再生制度との関係が非常に重要になります。
実質公債費比率35%以上の団体などは、財政再生計画の策定が必要となり、総務大臣の同意を得ない限り地方債発行が制限される仕組みがあります。
したがって、18%、25%、35%は、それぞれ財政運営上の意味が異なります。
最新の起債許可団体一覧を確認する方法
「起債許可団体一覧」を作成する場合、最も注意すべきなのは年度です。
例えば令和4年度決算を基準にした一覧と、令和6年度決算を基準にした一覧では、該当団体が変わる可能性があります。
確認するときは、次の順番で資料を見ると分かりやすくなります。
- 対象年度を確認する。
- 各自治体の健全化判断比率を見る。
- 実質公債費比率を確認する。
- 18%以上かどうかを確認する。
- 自治体が「起債許可団体」と明記しているか確認する。
- 必要に応じて公債費負担適正化計画を確認する。
- 過去年度との推移を比較する。
地方債協会の公表資料では、令和3年度決算では実質公債費比率18%以上の団体が2団体、令和4年度決算では3団体、令和5年度決算でも3団体だったことが示されています。
この数字からも、全国の自治体の大部分が起債許可団体になるわけではないことが分かります。
近年の該当団体
新潟県
近年の代表的な例として挙げられるのが新潟県です。
新潟県は令和4年度決算に基づく実質公債費比率が18%以上となったため、起債許可団体へ移行しました。県は公債費負担適正化計画を策定し、公債費負担を抑制する取り組みを進めています。
さらに、令和6年度決算についても、新潟県は実質公債費比率が18%以上であり、県債発行に国の許可が必要な「起債許可団体」であると公表しています。
これは「起債許可団体一覧」を調べる際に非常に重要な事例です。
新潟県の場合、単年度の一時的な数値だけではなく、複数年度にわたって実質公債費比率が高い状態にあり、県自身も公債費負担の抑制を重要な財政課題として位置付けています。
全国の該当状況を見る際のポイント
地方債協会の資料によると、令和5年度決算で実質公債費比率が18%以上となった団体は、都道府県2団体、市区1団体、町村0団体で、合計3団体でした。
| 決算年度 | 都道府県 | 政令市 | 市区 | 町村 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 |
| 令和4年度 | 2 | 0 | 1 | 0 | 3 |
| 令和5年度 | 2 | 0 | 1 | 0 | 3 |
この表は「実質公債費比率18%以上の団体数」であり、すべての自治体について単純に「財政が悪い・健全」と評価するものではありません。
また、令和6年度決算の各自治体資料が順次確定・公表されるため、2026年時点で最新の一覧を作る場合には、令和5年度までの全国集計と、令和6年度の自治体別確定資料を区別する必要があります。
起債許可団体と財政健全化団体は同じなのか
この2つは同じではありません。
起債許可団体は、主として地方債発行に関する制度上の状態を表します。
一方、地方公共団体の財政健全化制度では、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率などについて、それぞれ早期健全化基準や財政再生基準が設定されています。
新潟県の令和6年度決算では、実質公債費比率が18%以上で起債許可団体となっている一方、健全化判断比率はいずれも早期健全化基準・財政再生基準には該当していないとされています。
この点は非常に重要です。
つまり、
- 起債許可団体である
- 直ちに財政再生団体である
という2つは同義ではありません。
起債許可団体になると何が変わるのか
起債許可団体になると、地方債を発行する際の財政的な自由度が低下します。
主な影響は以下のとおりです。
- 地方債発行について国の許可が必要になる。
- 公債費負担を抑制するための計画が重要になる。
- 新規の大型公共事業について財源計画を慎重に検討する必要がある。
- 元利償還金の将来負担をより厳格に管理する必要がある。
- 実質公債費比率を18%未満へ改善することが重要な財政目標になる。
新潟県の資料でも、実質公債費比率が18%以上になったことで起債許可団体へ移行し、公債費負担適正化計画を通じて負担抑制に取り組むことが説明されています。
起債許可団体から脱却するには
起債許可団体から脱却するためには、実質公債費比率を改善することが重要です。
一般的には、
- 新規地方債の発行を抑制する
- 高金利債務への対応を行う
- 元利償還金の推移を管理する
- 公共事業の優先順位を見直す
- 基金や一般財源を適切に活用する
- 財政規模に見合った投資を行う
- 中長期的な公債費負担を予測する
といった財政運営が必要になります。
ただし、単純に地方債発行をゼロにすればよいというものではありません。学校、道路、上下水道、防災施設など、地方債を活用することが合理的な事業も存在します。
重要なのは、将来の税収や地方交付税などの一般財源と、今後発生する元利償還金とのバランスを保つことです。
起債許可団体一覧を見るときの注意点
過年度の一覧を最新情報と混同しない
自治体の財政指標は毎年度変化します。
そのため、「令和4年度の起債許可団体一覧」を2026年現在の一覧として掲載することは適切ではありません。
18%以上と財政破綻を混同しない
18%は重要な警戒ラインですが、それだけで財政破綻を意味するものではありません。
実際、新潟県は令和6年度決算で起債許可団体となっている一方、各健全化判断比率について早期健全化基準・財政再生基準には該当していません。
都道府県と市町村を区別する
「自治体」と一括りにすると分かりにくくなるため、一覧を作る場合には、
- 都道府県
- 政令指定都市
- 市
- 特別区
- 町
- 村
という区分を明記すると、資料としての価値が高まります。
起債許可団体を調べるために確認したい資料
信頼性の高い一覧を作成するには、以下の資料を優先するとよいでしょう。
| 資料 | 確認できる主な内容 |
|---|---|
| 自治体の健全化判断比率 | 実質公債費比率など |
| 決算資料 | 歳入・歳出、地方債、基金など |
| 公債費負担適正化計画 | 起債許可団体の財政改善方針 |
| 地方債協会資料 | 制度・全国の該当状況 |
| 総務省関連資料 | 地方財政・地方債制度の全国的な情報 |
| 都道府県の市町村財政資料 | 県内市町村の比較 |
特に、自治体が公開する「健全化判断比率」は重要です。例えば新潟県は令和6年度決算について、監査委員の審査後に比率を確定し、その結果を公式サイトで公表しています。
まとめ
起債 許可 団体 一覧を正確に理解するためには、単に自治体名を確認するだけでなく、実質公債費比率18%という基準、その上の25%・35%という財政上の段階、さらに実質赤字比率や将来負担比率などの関連指標を合わせて見ることが重要です。地方債協会の資料では、実質公債費比率18%以上の地方公共団体は地方債発行に許可が必要とされており、18%以上25%未満、25%以上35%未満、35%以上ではそれぞれ財政管理の厳しさが異なります。
また、2026年時点で起債 許可 団体 一覧を作成・利用する場合は、必ず「何年度決算を基準にした一覧なのか」を確認する必要があります。新潟県のように令和4年度決算以降、実質公債費比率18%以上によって起債許可団体となっている自治体もある一方、年度によって該当団体が変化する可能性があります。そのため、最新の自治体公式資料、健全化判断比率、公債費負担適正化計画などを照合しながら判断することが、正確な地方財政情報を得るための基本となります。