労働者死傷病報告 記入例は、労働災害などによって労働者が死亡、または負傷・疾病により休業した際に提出する重要な書類です。この報告書は、労働基準監督署に提出し、災害の実態を正確に把握するために使用されます。提出を怠ると罰則を受ける可能性もあるため、正確な理解と適切な記入が必要です。
本記事では、労働者死傷病報告 記入例の基本構成、実際の記入方法、そして見落としがちな注意点について、実務者向けにわかりやすく、かつ詳細に解説します。
労働者死傷病報告とは
「労働者死傷病報告」とは、労働基準法第100条および労働安全衛生規則第97条に基づき、労働災害などが発生した場合に事業者が労働基準監督署に提出する義務のある報告書です。
提出が必要となるケース
- 労働者が死亡した場合
- 労働者が休業4日以上の負傷や疾病を負った場合
- 休業4日未満の場合でも、四半期ごとにまとめて提出する義務あり
- 派遣労働者の場合は、派遣元・派遣先双方で提出が必要
様式の種類と使い分け
労働者死傷病報告には、休業日数によって異なる2つの様式があります。
| 区分 | 休業日数 | 様式番号 | 提出時期 | 提出単位 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 休業4日以上 | 様式第23号 | 事故発生後、遅滞なく提出 | 1事案ごと |
| 2 | 休業4日未満 | 様式第24号 | 四半期ごとにまとめて提出 | 複数件可 |
記入例と具体的な書き方
1. 被災者の基本情報
以下の項目を正確に記入します。
- 氏名(漢字・フリガナ)
- 性別・年齢
- 職種・雇用形態(正社員、契約社員、パートなど)
- 外国人労働者の場合:「国籍」「在留資格」「活動類型」を明記
- 例:特定活動(建設分野)/技能実習(第2号)
2. 事業場の情報
- 事業場名称(法人名+支店名・店舗名など)
- 所在地・電話番号
- 労働者数(該当事業場の人数)
- 事業の種類(例:製造業、建設業など)
※報告単位は「事業場」ごと。支店・店舗単位で提出します。
3. 災害発生状況
事故・災害の発生状況を、具体的かつ簡潔に記載します。
記載ポイント:
- 発生日時(例:2025年10月10日 14時30分頃)
- 発生場所(例:工場内組立ラインA付近)
- 災害の種類(例:転倒、切創、骨折、火傷など)
- 原因(例:床の油分により滑って転倒)
- 被災の経緯(例:部品搬送中にバランスを崩し転倒)
図を記載する欄があるため、事故発生場所や動線を簡略図で描くと理解されやすくなります。
4. 傷病名および休業日数
- 診断書に記載された正式な傷病名を転記
- 例:「右大腿骨骨折」「左手第2指裂傷」など
- 休業日数は「見込み」でも可。1か月未満の場合は「0月」と記載。
休業日数の数え方:
- 災害当日は含めない(民法第140条)
- 所定休日でも働けない日であれば休業日に含む
5. 派遣労働者の記載方法
派遣社員が被災した場合は、派遣元および派遣先の両事業場で提出が必要です。
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 被災者氏名欄 | 派遣労働者に○を記入 |
| 災害発生状況欄 | 派遣先の事業場名を併記 |
| 提出先 | 派遣元・派遣先それぞれの所轄労働基準監督署 |
記入時の注意点
印刷と提出に関する留意事項
- 様式はPDFファイルを「実寸」で印刷する(縮小印刷は禁止)
- 黒ボールペンで記入
- 署名・押印は不要だが、**記名(代表者名)**は必要
- 支店などで権限委譲されている場合は支店長名でも可
休業4日未満の場合(様式第24号)
| 災害発生期間 | 提出期間 |
|---|---|
| 1月~3月 | 4月1日~4月末日 |
| 4月~6月 | 7月1日~7月末日 |
| 7月~9月 | 10月1日~10月末日 |
| 10月~12月 | 翌年1月1日~1月末日 |
複数の軽傷事故を1枚にまとめて提出できます。
休業4日以上の場合(様式第23号)
1件ごとに報告書を提出します。
災害発生状況を具体的に記載し、図・写真・資格証などは別紙で添付します。
記載例:
被災者はライン作業中に搬送台車に右足を挟まれ、右足首捻挫。救急搬送後、全治2週間と診断。
よくある誤記・提出漏れ
- 被災者情報の記入漏れ(特に外国人の場合)
- 事業場の名称・所在地の誤記
- 災害発生日の記載誤り
- 四半期ごとの提出期限の失念
- 派遣労働者に関する二重提出忘れ
実務で役立つポイント
- 報告書提出は労災保険の手続きとは別であることを理解する
- 労働者が自宅療養している間も「休業」として日数をカウントする
- 事故発生後は、速やかに上長・安全衛生担当者に連絡し、初動記録を残す
記入例(簡易フォーマット)
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 被災者氏名 | 山田 太郎 |
| 性別・年齢 | 男・35歳 |
| 職種 | 組立工 |
| 事故発生日 | 2025年10月5日 13時30分頃 |
| 傷病名 | 左手中指裂傷 |
| 休業日数 | 5日(見込) |
| 災害発生状況 | 部品加工中、刃物に触れて負傷 |
| 事業場名称 | 株式会社〇〇 製造部 |
| 所在地・電話 | 東京都港区×× 03-xxxx-xxxx |
罰則・法的留意点
提出義務を怠ると、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金が科されることがあります。
提出は迅速かつ正確に行い、事業場ごとの記録を残すことが重要です。
まとめ:労働者死傷病報告 記入例の正確な理解が安全管理の第一歩
労働者死傷病報告 記入例を理解し、適切に記載・提出することは、労働災害防止と安全衛生活動の根幹です。
報告書の様式区分(第23号・第24号)や、休業日数・派遣形態に応じた正確な記入が求められます。
労働者の安全を守るためにも、法令遵守と迅速な報告体制を整備し、万全のリスクマネジメントを実現しましょう。