「登記簿謄本」と「履歴事項全部証明書」違い:意味の違い、使い分け、取得方法まで徹底解説

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会社の登記情報を確認・証明するために必要な書類にはさまざまな種類がありますが、その中でも混同されやすいのが**「登記簿謄本」と「履歴事項全部証明書」です。これらは日常的に「同じもの」と思われがちですが、実際には明確な違いがあります。本記事では、「登記簿謄本」と「履歴事項全部証明書」**の違いについて、具体例を交えながら、分かりやすく詳しく解説していきます。

「登記簿謄本」とは何か?

登記簿謄本の基本定義

「登記簿謄本」とは、不動産や会社の情報が記録された登記簿の内容を、丸ごとコピーした文書を指します。これは、以下のような証明書を総称した呼び方です。

商業登記簿に関する証明書:

  • 履歴事項全部証明書
  • 現在事項証明書
  • 閉鎖事項証明書
  • 代表者事項証明書

不動産登記簿に関する証明書:

  • 不動産登記事項証明書

つまり、「登記簿謄本」はこれら複数の証明書の総称であり、特定の1枚の書類を指しているわけではありません。

用語の由来

「謄本」とはもともと、紙の登記簿をコピー機で印刷した文書のこと。以前は紙で保管されていた登記簿を複写し、そこに証明文と印章を押して発行していたため、その名残として「登記簿謄本」という名称が今も使われています。

「履歴事項全部証明書」とは何か?

定義と内容

「履歴事項全部証明書」は、法人の現在の登記事項と、それまでの変更履歴が含まれる証明書です。つまり、どのような代表者がいたか、会社の本店所在地がどう変わったかなどの履歴全体を確認できます。

収録内容の例:

  • 会社名
  • 本店所在地
  • 設立年月日
  • 目的(事業内容)
  • 資本金
  • 代表取締役の氏名・住所
  • 役員の変更履歴

実際の用途

履歴事項全部証明書は、以下のような場面で必要になります:

  • 銀行口座の開設
  • 取引先への提出
  • 融資の審査
  • 契約の締結
  • 裁判所への提出資料

一般的な呼び方との関係

ビジネスの現場では、「商業登記簿謄本ください」と言われる場合、たいていはこの履歴事項全部証明書のことを指しています。

違いを一覧で比較

項目登記簿謄本履歴事項全部証明書
意味登記情報をまとめた総称商業登記の履歴をすべて記載した証明書
内容複数の証明書の総称現在および過去の登記事項を記録
用途曖昧な場合が多い幅広い場面で利用(標準的書類)
発行機関法務局法務局
呼び名としての使用頻度一般的に使われるが意味が広い実際に提出する書類名として多用される
オンラインでの取得×(言葉としての分類)

なぜ混同されるのか?

  • 過去は「登記簿謄本」が正式名称だったが、現在はデジタル化が進み「登記事項証明書」と呼ばれるようになったため。
  • ビジネスの場では「登記簿謄本」が通称のように使われているため。
  • 実務で提出を求められるのはほとんどが履歴事項全部証明書のため、**「登記簿謄本=履歴事項全部証明書」**という誤解が生まれやすい。

取得方法:履歴事項全部証明書の入手手段

1. 法務局で取得

① 窓口で取得する手順

  1. 最寄りの法務局へ行く
  2. 申請書に必要事項を記入
  3. 印紙販売所で600円の収入印紙を購入
  4. 申請書に貼付して提出
  5. 当日中に受け取り可能(混雑時は待ち時間あり)

② 郵送で取得する手順

  1. 交付申請書を法務局のウェブサイトからダウンロード
  2. 記入後、600円分の収入印紙を貼付
  3. 切手付き返信用封筒を同封して郵送
  4. 数日後に受け取り

2. オンラインで取得

方法一覧:

  1. 登記・供託オンライン申請システム
    • 手数料:480円
    • 電子納付可能、印紙不要
    • 法務局で受け取り(待ち時間なし)
  2. 郵送受取付きオンライン申請
    • 手数料:500円
    • 申請はWeb、受取は郵送
    • オンライン処理のためスピーディ
  3. GVA登記簿取得サービス
    • 専門業者を介して申請と取得が可能
    • 料金はやや高めだが手続きが簡単

注意点とポイント整理

  • 「登記簿謄本」=証明書の総称
  • 「履歴事項全部証明書」=実務でよく使う1種類の証明書
  • 昔の「登記簿謄本」は現在の「登記事項証明書」に名称が変化している
  • オンライン申請なら手数料も安く、スピーディに取得可能

実例で理解する使い分け

例①:融資申請の場面

銀行が「登記簿謄本をご提出ください」と伝えた場合、実際に求められているのは「履歴事項全部証明書」です。

例②:裁判所に提出する資料

裁判所の指示で「商業登記簿謄本」を提出する場合、多くは履歴事項全部証明書で対応可能です。

例③:不動産の売買

登記簿謄本(不動産登記事項証明書)が必要な場面では、法人の履歴事項全部証明書では対応できません。


最後に改めて確認しておきましょう。「登記簿謄本」と「履歴事項全部証明書」は一見似ている言葉ですが、実際には意味も使い方も異なります。登記簿謄本はあくまで証明書全体の総称であり、その中の一つの書類が履歴事項全部証明書です。ビジネスや行政手続きの場で正確に使い分けるためにも、これらの違いをしっかり理解しておくことが重要です。

今後、申請や提出の場面で迷わないように、「登記簿謄本」と「履歴事項全部証明書」の違いを本記事でしっかり把握していただけたら幸いです。