発電方法 メリット デメリット:安定供給と環境負荷のバランスを考える

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私たちの暮らしに欠かせない電気。その電気をどのように作っているのか、そしてその発電方法 メリット デメリットはどのようなものがあるのかを理解することは、持続可能な社会を築く上で非常に重要です。日本は、火力発電に大きく依存している現状がありますが、脱炭素社会への移行を目指す中で、多様な発電方法の理解と、それぞれの特徴を把握することが不可欠です。本記事では、主要な発電方法について、その仕組み、メリット、デメリットを詳細に解説し、日本のエネルギー事情の現状と未来について考察していきます。

1. 発電方法の種類と仕組み

発電方法にはいくつかの種類があり、それぞれ異なるエネルギー源や技術を用いて電力を生成します。代表的な発電方法としては、火力発電、水力発電、原子力発電、太陽光発電、風力発電などがあります。

日本の発電実績を見てみると、約76%が火力発電に依存しています。次いで、水力発電、原子力発電、そして新エネルギーと続いています。これは、安定した電力供給を可能にする火力発電の特性によるものですが、同時に環境負荷という課題も抱えています。

発電方法日本の発電実績(概算)
火力発電約76%
水力発電約9%
原子力発電約5%
新エネルギー約10%

(出典:資源エネルギー庁 2024年3月 統計表一覧 発電実績より作成)

代表的な発電方法について、それぞれその仕組みを解説していきます。

2. 火力発電とその種類

もっとも割合の多い火力発電は、どのような仕組みの発電方法なのでしょうか。

火力発電の基本的な仕組みは、石炭、天然ガス、石油などの化石燃料をボイラーで燃焼させ、水を蒸気に変えてタービンを回し、その熱エネルギーで発電をしています。

火力発電にも、いくつかの種類があります。

2.1. 汽力(きりょく)発電

上記にご紹介した、基本的な仕組みは、この汽力発電で、蒸気でタービンを回して電気を作る発電方法です。この方法で発電している発電所が主流です。例えば、日本の大規模火力発電所の多くは、この汽力発電を採用しており、安定的に大量の電力を供給しています。

2.2. ガスタービン発電

蒸気でタービンを回すのではなく、燃焼したときに出るガスでタービンを回して電気を作る発電方法です。主に天然ガスや灯油などの燃料で使われます。ガスタービン発電は、起動時間が比較的短く、電力需要の変動に素早く対応できる特徴があります。

2.3. コンバインドサイクル発電

汽力発電とガスタービン発電を組み合わせた発電方法が、コンバインドサイクル発電です。まず、燃料を燃やしてガスを発生させ、ガスタービンを回して発電をさせます。ガスタービンを回し終えた排ガスでも十分に余熱があるため、この余熱を使って水を沸騰させ、蒸気タービンによる発電をおこないます。

この方法なら、同じ量の燃料でも通常の火力発電より多くの電力を作ることができます。つまり、同じ量の発電量でも、二酸化炭素発生量が少なくなる方法です。例えば、最新のコンバインドサイクル発電所では、発電効率が60%を超えるものもあり、従来の火力発電に比べて大幅な効率向上とCO2排出量削減を実現しています。

3. 火力発電のメリットとデメリット

3.1. 火力発電のメリット

火力発電の最大のメリットは安定した電力供給を容易におこなえる点です。燃料さえあれば、天候に左右されずに24時間発電が可能です。また、燃焼する燃料の量を調整することで、需要に応じた発電量の増減が可能な点もメリットといえるでしょう。電力需要が急増する夏場の昼間や冬場の夜間など、安定供給が求められる時間帯に柔軟に対応できます。

さらに、水力発電や風力発電、原子力発電などと比較すると、狭い土地でも発電所が建設でき、コストが低く工期が短いという点もメリットです。これは、都市部に近い場所での建設が可能であることを意味し、送電ロスの削減にも繋がります。

3.2. 火力発電のデメリット

一方、火力発電のデメリットは、燃焼過程で大量の二酸化炭素や有害物質を排出することが挙げられます。地球温暖化や大気汚染の一因となるため、環境への負荷が大きい点が問題です。例えば、石炭火力発電所は、発電量あたりのCO2排出量が他の化石燃料に比べて多く、地球温暖化対策の観点から問題視されています。

また、火力発電の原料となる化石燃料は、日本国内で賄うことはできないため、ほとんどを海外からの輸入に依存しています。そのため、国際情勢の変化によって、日本のエネルギー事情にも大きな影響を与えてしまうことはデメリットの一つでしょう。中東情勢の不安定化や産油国の減産など、地政学的リスクが燃料価格に直結し、電気料金の変動要因となることがあります。

日本の化石燃料輸入先(2022年)

燃料の種類主な輸入先
石炭オーストラリア、インドネシア、ロシア、米国など
液化天然ガス(LNG)オーストラリア、カタール、米国、ロシア、マレーシアなど
原油サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェートなど

(出典:資源エネルギー庁(日本のエネルギー))

日本では、2030年度までに、2013年度比で46%の温室効果ガス排出削減目標を掲げています。2021年、温対会議・気候サミットにて「脱炭素化をリードする」」の掛け声とともに、当時の菅総理が表明しました。しかし、火力発電の依存度が現在のままであれば、その目標を達成することは難しいでしょう。

近年では、燃焼効率の上昇や排出ガスの浄化装置の導入が進んでいますが、安定的な電気の供給というメリットと、二酸化炭素の排出という大きなデメリットの間で、まだ根本的な解決には至っていないのが現状です。

4. 水力発電とその種類

水力発電は、川やダムなどの水の流れを利用して発電機を回す方法です。ダムに貯めた水を高い位置から低い位置に流す際の重力エネルギーを利用します。再生可能エネルギーの一つとして、二酸化炭素の排出が少なく、環境に優しい点が特徴です。また、一度設置すると長期間にわたって安定した電力を供給できることから、信頼性も高い発電方法です。

水力発電には、発電所の形式、および水の運用方式にいくつかの種類があります。

まず、発電所の形式について説明します。

4.1. 発電所の種類:水路式

河川の上流に取水堰(しゅすいせき)を作って水を取り入れ、長い水路の中で落差を得られるところまで水を導き発電する方式です。本来の河川の流れよりも緩やかな勾配の水路を作り、発電所で急勾配させ、その流水の勢いで水車を回転させて発電させます。発電後の水は、もとの河川に戻します。水量は、川の水量に左右されます。例えば、渓流の落差を利用した小規模な水力発電所などに見られます。

4.2. 発電所の種類:ダム式

河川などにダムを築き、人造湖を作ります。貯水された水を放出し、その落差を利用して発電する方法です。発電量に応じて、水の量を調整することが可能です。日本の大規模ダムの多くがこの方式を採用しており、年間を通して安定した電力を供給しています。

4.3. 発電所の種類:ダム水路式

ダム式と水路式を組み合わせた発電方法です。ダムで水を貯めて、それを下流に導き発電させます。ダム式同様、水量の調整が可能です。

続いて、水の運用方式について説明します。

4.4. 水の運用方式:流れ込み式

主に、水路式で使われている運用方式です。河川を流れる水を発電所に引き込み発電しています。ダムを必要としないため、コストは抑えられますが、水を貯められないため、水量のコントロールができません。そのため、年間を通して水量が多い河川に設置されることが多いです。

4.5. 水の運用方式:貯水池式

主にダム式、ダム水路式で使われている運用方式です。電力需要の変動に対応するため、貯水池に水を貯める方式です。梅雨時期や台風などの時期に貯水をし、水が足りない時期に放流するなどして、発電量の調整が可能です。例えば、夏のピーク時には貯めていた水を放流して発電量を増やすなど、電力需要に合わせて柔軟な対応が可能です。

4.6. 水の運用方式:調整池式

貯水池式は長期間の需要変動への対応として活用されていますが、調整池式は短期間の需要変動への対応に使われています。夜間や週末など、比較的電力消費が少ないときに貯水をして、日中に発電するなどの調整がおこなわれています。これにより、電力系統の安定化に貢献しています。

4.7. 水の運用方式:揚水式

発電所の上流と下流に、それぞれダムを設置し、ダム同士での水をやり取りすることで発電させます。需要が少ないときには、下流から上流に水を汲み上げておき、需要が高まってきた際にその水を利用して発電量を増やします。これは、大規模な蓄電池のような役割を果たし、電力系統の需給バランスを調整する上で重要な役割を担っています。

5. 水力発電のメリットとデメリット

5.1. 水力発電のメリット

水力発電は、日本において非常に重要な発電方法になっています。発電効率が80~90%程と高く、渇水のリスク以外においては、安定的に電力の供給が可能な点は大きなメリットでしょう。また、需要に合わせて供給量を増減できる仕組みも整っており、変動への対応もスムーズにおこなえます。

また、何より温室効果ガスの排出がゼロのため、再生可能エネルギー(再エネ)として注目されています。一度設置すれば、長期間にわたり安定した電力を供給できるため、信頼性が高い発電方法です。さらに、ダムは治水や利水(農業用水、工業用水、水道水など)といった多目的利用が可能であり、地域の防災や生活にも貢献しています。

5.2. 水力発電のデメリット

デメリットとして、ダム建設による環境破壊が挙げられます。ダムの底に沈んでしまった村や、ダムがあるため魚が上流に進めなくなったり、逆に下へ降りられなくなってしまったり、ということもあるため、生態系への影響が懸念されています。例えば、河川の魚類の遡上を妨げたり、下流の河川流量の変化が水生生物に影響を与えたりすることがあります。

他にも、ダムが決壊するリスクはデメリットの一つでしょう。万一、決壊した場合は、下流域に洪水が起きるなど甚大な被害が考えられます。このため、ダムの建設には厳格な安全基準と定期的な点検が求められます。

最近では、すでに大規模な水力発電がほとんど開発されており、建設コストもかかるため大規模な発電所の新設は難しいと言われています。そのため、現在ではマイクロ水力発電の設置が進められています。これは、小規模な河川や農業用水路などを利用した発電方法で、環境負荷を抑えつつ地域での電力自給に貢献することが期待されています。

6. 原子力発電とその種類

原子力発電の基本的な原理は、火力発電と同じです。火力発電でボイラーにあたる部分が原子炉となり、ウランなどの核燃料を使って核分裂反応を起こし、その際に発生する熱エネルギーでタービンを回して発電します。

燃料のエネルギー密度が非常に高いので、少量の燃料で大量の電力を生み出せるのが特長です。原子力発電は、蒸気を発生させる原子炉の仕組みによって2種類に分けられます。

6.1. 沸騰水型原子炉(BWR)

原子炉の中で蒸気を発生させる方式が、沸騰水型原子炉です。上記でご紹介した発電方法です。蒸気は、放射性物質を含む水からつくられており、タービンや復水器にも放射線管理が必要です。日本の原子力発電所で多く採用されている形式の一つです。

6.2. 加圧水型原子炉(PWR)

炉心を通る水が格納容器内のみを循環している点が沸騰水型原子炉と異なります。炉心を通る水は、加圧機によって圧力が高められ、300度を超えても蒸気にはなりません。蒸気発生器内の熱交換プロセスで熱せられてはじめて蒸気が発生します。そのため、タービンや復水器は放射性物質を含みません。安全性は高まりますが、格納容器は沸騰水型原子炉の5倍ほど大型になります。

(出典:資源エネルギー庁 エネルギー白書2020)

7. 原子力発電のメリットとデメリット

7.1. 原子力発電のメリット

原子力発電は、大量の電力を安定的に生成することが可能な上、二酸化炭素の排出が少ないというメリットがあります。発電時にCO2を排出しないため、地球温暖化対策に貢献する「ベースロード電源」としての役割が期待されています。また、少量の燃料で多量の電力が得られ、燃料の輸送や保管が効率的におこなえる点も大きなメリットです。

また、原料となるウランは、石油や石炭と比べても世界の広い地域に分布しているため、世界情勢に変化があっても、火力発電ほど原料調達の影響は少ないだろうと言われています。これにより、エネルギー安全保障の観点からもメリットがあります。

環境負荷が少ないため、2011年までは火力発電の代替エネルギーとして活用されていました。

7.2. 原子力発電のデメリット

しかし、2011年の東日本大震災のあとには、原子力発電の割合が大きく減少しました。

発電電力量の推移

原子力発電電力量(概算)
2010年高水準
2012年以降大幅減少

(出典:資源エネルギー庁 二次エネルギーの動向)

原子力発電の大きなデメリットは、事故の危険性、放射性廃棄物の処理問題などが挙げられるでしょう。原子力事故が発生した場合の影響は甚大であり、事故のリスクをゼロにはできない点が大きな懸念とされています。福島第一原子力発電所事故は、その甚大さを世界に示し、原子力発電に対する人々の見方を大きく変えました。

東日本大震災の後、ドイツは即座に原子力発電の縮小を表明するなど、世界にも大きな影響を与えました。その一方、二酸化炭素を排出しない電源として、フランス・アメリカ・中国などの国々は引き続き利用する方針を示しています。各国の電源構成は、その国のエネルギー資源や環境政策、国民感情などによって大きく異なります。


本記事では、発電方法 メリット デメリットとして、火力発電、水力発電、原子力発電を中心に、その仕組み、メリット、デメリットを詳しく解説しました。日本の電力供給の現状は、依然として火力発電への依存度が高いですが、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から、再生可能エネルギーの導入拡大や原子力発電の活用について、多角的な議論が続けられています。

安定した電力供給を確保しつつ、環境負荷を低減していくためには、それぞれの発電方法の特性を理解し、バランスの取れたエネルギーミックスを追求していくことが重要です。技術革新による効率向上や、新たな発電技術の開発も進められており、今後のエネルギー事情の変化に注目していく必要があります。